こんにちは、シュリです!
看護学生になってから、初めて聞く言葉ってとても多いと思います!そのうちの「アセスメント」もそう。
正直アセスメントができなければ無事に国家試験に合格して看護師になっても、それは「看護師ではない」と思います。
ではなぜそれほどまでに「アセスメント」が大事なんでしょうか?今回は”アセスメントって何?”といった基本的なことから、”具体的なアセスメントの方法”まで解説していきます。
なぜアセスメントができないと看護師ではないのか?
なぜ「アセスメントができないだけで、看護師ではないのか?」
それは、患者へ看護を提供する際にはアセスメントが必須だからです。
看護師はただ医者から指示を受けた処置だけをしているのではありません。
「なぜその指示が出たのか?」「これからどのように状態が変化していく可能性があるのか?」「変化を見越してどういった予防が行えるのか?」などなど、手に入る情報をフル活用して様々なことを考えなければいけないのです。
アセスメントって何?
そもそも、”アセスメント”ってどういう意味なのでしょうか。
「アセスメント」とは?
アセスメントとは、「評価」や「査定」などを意味する言葉です。語源は英単語の「assessment」で、人や物の評価や判断、また課税や資産などの評価および査定などを意味します。人材アセスメントラボ -「アセスメント」の使い方を簡単にわかりやすく解説【例文あり・分野別】-
なるほど。アセスメントという言葉だけだと看護に関係しているようには思えないですよね。なんなら無関係くらいに思えます。
では、このただの『アセスメント』を看護と絡ませると、どうなるのでしょうか。
看護アセスメントって何?
医師や看護師の観察から得た客観的情報と、対象者から得た主観的情報とを解釈、統合しながら看護上の問題を分析することを「看護アセスメント」といいます。看護ケアの方向性を明確化することに役立ちます。
人材アセスメントラボ -アセスメントとは?意味や使われ方を詳しく解説-
どうやら、本来の英語のアセスメントと看護アセスメントでの「アセスメント」の意味は全く違うみたいです。
看護で用いる「アセスメント」という言葉は「情報の分析・評価」という意識で良さそうですね!
客観的情報・主観的情報
この2つも看護学生になるまで聞いたことなんてなかったですよね。ひとつずつ解説していきましょう!
客観的情報
…視覚・聴覚・嗅覚・触覚などの五感を用いた観察、検査や測定器による測定、他職種の記録等により確認された事実
主観的情報
…患者の言葉などによる、患者目線での事実
客観的情報は誰が見ても共通の事実で、主観的情報はあくまで患者さんしかわからない事実、って感じですね。
例えば・・・
体温が36.9℃だったとき、患者さんが熱っぽくてしんどい、と話していたら
客観的情報は「36.9℃であること」、
主観的情報は「熱っぽくてしんどいこと」という風に分類できますね。
①アセスメントは情報を分析・評価すること!
②客観的情報は誰が見ても共通の事実!
③主観的情報は患者さん目線の事実!
でも、アセスメントは難しい
これは今回お話しするアセスメントに限らず、どの分野にも共通する話なのですが、なんでも最初は難しい!ということです。
例えば、新しくアルバイトを始めても最初は全然仕事のことがわからず、難しいと感じますよね。
医療でいう、血圧測定も同じです。
でも、実習に行って、何度も何度も血圧測定をしなければいけない状況を経験することで、次第に上記の悩みって解決されていきませんか?
慣れるまで諦めずアセスメントをし続けること
厳しいことを言いますが、アセスメントができるようになる魔法なんてものは存在しません。つまりは、根気よく続けていくことが大切になってきます。
ただ闇雲に、わからないままアセスメントを続けるのでは意味がありません。
・アセスメントはどういう目的のものなのか?
・どうすることで効率よくできるようになるのか?
これをしっかり考えながら取り組むことが重要になってきます。
それと、最初の方に伝えた、
①アセスメントは情報を分析・評価すること!
②客観的情報は誰が見ても共通の事実!
③主観的情報は患者さん目線の事実!
これについてもしっかり頭の中に入れて、アセスメントをしていきましょう。
具体的なアセスメントの方法
とにかく慣れることが大切だと言いましたが、まずは基本となるアセスメントの方法を解説しますね。
ただ、私がここで解説したものを読んだからといってアセスメントができるようになるのではありません。あなたが今から得る情報をどうやって活かすのか?活かすために数をこなせるか?これが一番大切なことです。
また、これからあなたがたくさんの経験をする中で学んだことを、今から説明する内容にプラスアルファできるようになると最高ですね。
情報を収集する
最初に、『情報収集』です。実はここが1番重要だったりします。
どうしても私の職業柄、在宅ベースの情報収集になってしまっているかもしれませんが、在宅でも病棟でも取る情報は同じです。
『患者様・利用者様の主訴』『患者様・利用者様の身体・社会・精神』に関わること、それと『その他』です。
患者様・利用者様の主訴
これが1番重要な情報だったりします。「主訴」です。
『患者様・利用者様がご自身の体調について感じていること』つまり『主観的情報』に当てはまる情報は、残念ながら看護師側から目にみえるものではありません。
呼吸がいつもより苦しかったり、お腹が痛かったり。その症状は様々です。
ですが、それこそが正しくアセスメントを進める上で重要な情報。その『主訴』を聞き取る力も、看護師の力量であり患者様・利用者様との信頼関係がある上で収集できる情報だったりします。
患者様・利用者様の身体面に関わる情報
これは看護師である限り、嫌でも気になる情報ですよね。
バイタルサインに始まり、体調の変化。睡眠状況、食事・水分摂取状況、排泄状況、疼痛の有無・程度・部位、皮膚トラブルの有無・部位、など挙げるとキリがありません。
もちろん、検査データも大切な情報の一つです。内服薬や既往歴などもしっかりと確認します。
そんなあなたには、プチナースの「病期・発達段階の視点でみる 疾患別看護過程」をオススメします!
患者様・利用者様の社会面に関わる情報
社会面についての情報、確認できていますか?
いったいどういった情報のことを指すのか、と思いますよね。
難しく考える必要はなく、職業、社会役割、経済状況、家族との関係・・・などの「社会との関わりについての情報」と考えると良いです。
社会生活が成り立たないといったような情報があれば、もしかすると身体面へも影響を与えているかもしれません。
患者様・利用者様の精神面に関わる情報
病気や生活の変化によって精神面の変化が見られていないか?を確認しましょう。
ただし、精神面に関する情報は『必ず聴取して収集できるものではない』ということに注意します。
情報を分析・整理する
ここまで情報収集について一緒に確認してきました。
ここからは『集めた情報をどうやってアセスメントしていくか?』を確認していきます。
アセスメント=情報の整理
アセスメントってなに?と最初に確認しましたが、ややこしいので『アセスメント=情報の整理』という考え方に変えちゃいましょう。
情報の整理の方法ですが、ここは自分の知識だけで乗り越えるのはベテラン看護師出ない限りは難しいです。(現に私もまだまだ知識不足です)
それに、今のベテラン看護師さんたちですら自力で考えつかないこともあるので、まだまだアセスメント練習段階の私たちは色々な手を使ってアセスメント力を伸ばしていきましょう!
参考書・授業資料をフル活用する
これめっちゃ大事です。
でも看護の参考書って医療系のものなのでアホほど高いんですね。
そこで活用するのが『図書館』や『授業資料』です。
学生さんには学校の図書館がありますよね?社会人の方でも、地域の図書館を一度覗いてみてください。意外と専門図書が置いてあったりします。
もしも近くの図書館に目当ての本がなくても取り寄せが可能なこともありますので、借りたい本を取り寄せ可能か、スタッフさんに尋ねてみてください。
ちなみに・・・
シュリは学生の時、『疾患別看護過程』『症状別看護過程』を重宝していました。
図書館で借りていましたが、購入すれば病院や職場に置いておくだけですぐに確認できる、かなり情報内容の濃い参考書です!
一度見てみてくださいね。
さて、参考書を準備できれば次の段階へ進みます。
参考書を使ってアセスメントしていく
情報収集できた内容を活用して、参考書を見ていきます。
利用者様の主疾患をもとに、まずは主疾患についての解剖生理や基礎情報を確認。
服用している薬を紐付けて考え、副作用の確認。生活面はどうなんだろう、社会生活は?どんな仕事をしていたんだろう・・・。
もしかするとストレスが多いとされる仕事をしていて、飲酒・喫煙などの嗜好が進みすぎているのかもしれません。
重いものを持つ仕事をしていて、腰を痛めているのかもしれません。
そうです、情報を収集できれば参考書を使用して情報同士の繋がりを確認していきます。
参考書の該当項目を見ていると「あ、この症状ってもしかするとアレと繋がっているのかな?」といったヒラメキが突然浮かぶことがあります。
そのヒラメキを繰り返すことで、自然と頭に『〇〇と△△は××だ』といったように染み付いていきます。
アセスメントはこの繰り返しです。ずっとずっと何度も繰り返すことで、アセスメント能力が向上して記憶にも定着していきます。
アセスメント結果から可能性を予測する
ここまでできれば、次に現在考えられる可能性や未来に起こるであろう変化を予測していきます。
アセスメントは『現在、どういった状態なのか』を評価するのみでなく、『これからどういった変化が起こりうるか』までを考えてこそ、活きてきます。
学校で習った時には「〜する可能性がある」「〜のリスクがある」等の書き方で記載したところが、どういった変化が起きるか予測する部分に当てはまります。
簡単な例を挙げるとすると・・・
【体温36.9℃、脈拍数100回/分(普段は70回/分)、悪寒の訴えがある】
との情報を集めることができていれば
「これから熱が上がるかもしれない」「風邪かもしれない」「何らかの感染症かもしれない」
といったように情報同士の繋がりを考えた上で、可能性を考えることができます。
可能性を一つずつ潰していく
先ほど考えられた「可能性」を一つずつ潰していきます。
アセスメントができていないとそもそも可能性自体を考えられない、という問題がある点で、アセスメントがかなり重要であることがわかりますよね。
可能性を考えられたら、その可能性を潰すための情報収集を再度していきます。
先ほどの項目の例を引用すると・・・
最初に取った情報【体温36.9℃、脈拍数100回/分(普段は70回/分)、悪寒の訴えがある】
最初のアセスメント【これから熱が上がるかもしれない、風邪かもしれない、何らかの感染症かもしれない】→ここが可能性
2回目の情報収集【喉の痛みの有無を確認、いつから悪寒があるか確認、採血データ(炎症反応)を確認、排尿状況の確認、等】
2回目のアセスメント【喉の痛みあり、悪寒は1時間前から、CRP・白血球上昇、排尿状況問題なし】→じゃあやっぱり風邪かな?
もちろん、風邪以外の可能性もまだ捨てきれていませんが、上記のような流れで
情報収集→アセスメント→情報収集→アセスメント・・・をエンドレスに続けていくことが重要であることはご理解いただけたかと思います。
看護を提供するには、きちんと情報収集をしてアセスメントを行い、地道に可能性を一つずつ潰していくという長い道のりを超えていかなければいけません。
ですがそれを超えた先に、患者様・利用者様からの「ありがとう」のお言葉や病状回復などが見えてくるのです。
①まずは情報収集を!
患者様・利用者様の主観的情報に加えて、身体・社会・精神面の情報や検査データなどの客観的情報もしっかりと。
②参考書や授業資料を活用して情報同士を繋げてアセスメント!
個々に独立している情報を、参考書や授業資料を活用しながら繋げていきましょう。
何度も繋がりを確認することで、気づけばいつの間にか頭に染み付いています。
③アセスメントで浮上した可能性を一つずつ潰していく!
可能性を考えられたら、追加で情報収集・アセスメントを繰り返して可能性を一つずつ潰していきましょう。
繰り返すことで、最終的に適切な看護ケアを提供できます。
アセスメントは地道な情報収集・評価の繰り返し
さて、ここまで読んでみて「アセスメントができない人は看護師になれない」ということは何となくわかりました。
ここからどう行動するのかで、あなたの看護師人生は良くも悪くも変化していきます。
簡単な作業ではありませんが、少しでも看護師としての人生を輝かしいものにするために、今日からボチボチ『アセスメントについての見直し』をしてみるのはいかがでしょうか?
くれぐれも『ボチボチ頑張る』を意識して、無理はしないでくださいね。